もういいんだなにもかもU・x・U

元芸人の余生を割と赤裸々に綴ってやるよ

解散について

ナンバーガールが再結成するらしい。特にすごい好きというわけでも詳しいわけでもないが、すげえな、となんとなくそう思った。

YouTubeナンバーガールのライブ映像とかを観ていると関連でスーパーカーのライブ映像が出てきたので流れで観ていた。解散が決まり最後のライブの映像らしかった。YUMEGIWA LAST BOYを観てやっぱカッコいいなと思い、続けてLUCKYを観た。

 

スーパーカーについても全然詳しくないので少し調べると解散理由について驚く記述があった。ナカコーといしわたり淳治の仲が悪かったらしい。いしわたり淳治は雑誌の解散インタビューで赤裸々に語っていて、ナカコーからここ最近名前を呼ばれてない、ナカコーはフルカワミキと益子(スタッフ?)しか信頼していないと言った、ナカコーは歌詞なんかどうでもいいと言っていた(作詞はいしわたり淳治が担当) 

などなど衝撃の事実が判明していたのだ。ナカコーが会社との契約更新の会議中にもういいんじゃないかと言って解散が決まったらしい。

 

まぁ普通にナカコーひでえ奴だなと思った。いしわたりかわいそうとも。

ナカコーの本当の心中は分からないし全く的外れかもしらんが。

 

 

しかし、俺はナカコーを責められないとも思った。まさに俺はナカコーと同じことをしたんだ。理由はどうあれ今こうなってしまったのは俺がもういいんじゃないかって相方に突きつけたからだ。

 

自分の中で文字にして焼き付けておきたい。極めてダサいことだ。でも芸人やってた時はこういうダサいことは避けてた。クール装ってた。だからダメだった。

 

解散の理由は俺の愛のなさが全てだと思う。

まず俺は付き合っていた彼女から突然お別れを切り出された。とても悲しかった。わけを聞くと、結婚したいと思っているがするなら芸人を辞めて普通に働いてほしいということだった。まぁよくある私をとるの夢をとるのってやつ。こんなよく聞くありふれたクソみたいな凡な話が出てきてしまうってことだけでも俺個人の芸人としてのツキはもう落ちてたんだろう。とても好きな彼女だったからこれを言われたときはすごく悲しかったしかなり取り乱した。先輩や後輩に泣きつきまくって迷惑かけて全然更新してなかったアメブロにも悲しさ辛さをポエムみたいに刻みまくった。それをたまたま見たお客さんはめちゃくちゃ引いたと言っていた。先輩の鴨志田さんだけはめちゃくちゃ面白かったと言ってくれた。

 

その彼女のお別れの言葉が骨の髄に響いてしまうほど、そのときの俺は芸人に疲れていた。7年やっててまともにテレビやラジオにも出れない、賞レースも全て2回戦止まり、思った結果が出せていないことを恥じていた。苦悩していたのではなく恥じてしまっていた。ありがたいことに周りには俺たちを面白いと言ってくれる芸人やマネージャーや作家さんがいて、その人たちからは手厚くもてなされた。こんな無名な若造なんかのためにいろいろしてくれてなんとか売れるようにと愛情を注いでもらったと思う。それを器の小さい俺はプレッシャーに感じはじめ結果を出せないことを恥と思っていた。絶対ダメなのにそんな思考。人を笑わせようとする人間が陥ってはいけない思考。お笑いをやることが苦痛になってきていた。他の事務所の同期はたいして面白くもないのに(と俺は思っていた)メディアに取り上げられ賞レースでも勝ち抜きだんだん頭角を現しはじめる。地下芸人と言われるやつらも地下なりのアングラ感やコアな芸風でそこらへんが好きな客にハマりそれがだんだん地下で噂になり話題の下地が出来上がってくる。俺たちはそのどちらにも属せなかった。だからこそ周りの芸人たちの環境に対してムカついていた。全然面白くないのに(俺はそう思った)取り上げられていく様に腹が立った。お笑いナタリーを憎んだ。いつも同じやつらのどうでもいい情報ばかり垂れ流しやがって。ラフターナイトを見下した。同じメンツ新しくもないネタの業界初聴いて分かる芸人コレクション図鑑だろ。地下ライブの空気に心の中でツバをはいた。もうV-1にはうんざりだった。完全に負け犬の思考。負け犬の遠吠え。負け犬のやまびこ。クソクソクソクソ。今冷静な中考えると頭おかしかった。自滅してた。コンビ名を変えたりネタをパッケージングしようとしたり、正直最後の方は舞台に上がるのが怖くなってた。人前に出るのがキツかった。

お笑いにへきえきしていた。

 

だから俺は彼女の悪魔の囁きに乗った。疲れていたから。本当はもっと複雑な部分もたくさんあるのだが簡単に言うとそういうことだった。俺は大学時代から約10年、苦楽を共にしてきた相方より付き合って1年ちょっとのワガママな彼女を選んだ。

 

相方に彼女からこういうことを言われていると話してからはだんだんと解散の方に進んでいった。お互い本当の胸の内をあけすけに晒し合ってはいない。向こうはしていたかもしれないが俺はしていなかった。もうずっと前からお互いに思っていることをちゃんと話すことが出来なくなっていた。好きな音楽の話も漫画の話も街ですれ違う女の子の話も最近あった面白い話も今この時何を思っているのかも話さなくなっていた。話しづらくなっていた。俺はバカにされるのが怖かった。したい話をしてそんなもん、てあしらわれるのが怖かった。いつからかそう思うようになった。ネタ合わせでケンカをすることが多かった俺たちはその延長でお互いの価値観やお笑い観を傷つけ合うことも多かった。だから会話が自ずとマウントの取り合いになる傾向があった。ネタ関係ない会話でもそのニュアンスが介入しているのをなんとなく感じていた。そうして会話がぎこちなくなり素直にお喋りできなくなっていた。俺はもっと最近聴いてる音楽の話や感動した映画の話や女の子とデートで行った場所について話したかった。友達だから。ビジネスパートナーでもあるけど友達でもあるから。でも出来なかった。事務所に解散の話をしたときだって全く現実感がなかった。あれ?終わっちゃうんだ俺たち?なんだこれ?でももう止まらなかった。それからはどこかヤケクソというか開き直ってしまい、はいはい終わりってな感じでラストライブを終えた。ライブで解散の話をしてお客さんからのえーって声を聞くのがどうしても嫌で今までお疲れ様みたいな空気になるのもうすら寒いと思っていたので解散は事後報告にした。

10年付き合いずっと俺を支えてくれていた前の彼女をフったとき、「しんやさん(相方)にだけは同じことしちゃダメだよ」って言われたのに同じことをしてしまった。

 

 

愛が足りなかった。全然なかった。お笑いへの愛も相方への愛もサポートしてくれる人への愛も彼女への愛も元彼女への愛も自分への愛も全然なかった。俺に愛がなかった。俺に愛があれば回避できた問題しかなかったはずだった。

それすなわち覚悟がなかった。

俺は解散してしまった。

 

 

スーパーカーのLUCKYのライブ映像のコメントにこんなのがあった。

 

ダメだよ

ナカコーダメだよ

もっと素直な頃の自分を信じてよ

この歌詞は君を表してるよ

 

涙が、出た。

 

 

スーパーカー LUCKYより

 

今はどうしても言葉につまるから――ヒキョウなだけでしょう?
それで、大人になれるならつらいだけだよ 傷つけ合う前にうちあけられるかな

内心はこんな僕のどこがいいかなんてわからないんだけど、それでも僕に少しの男らしさとか広い心が戻ればまだラッキーなのにね

 

 

※全て僕個人の考え、感想、感じたことです。