もういいんだなにもかもU・x・U

元芸人の余生を割と赤裸々に綴ってやるよ

おめでとう友人よ

今日も御多分に洩れず夕方前に起きると、長屋から子供が生まれたとラインで報告がきた。すごいなと思った。

 

長屋は同じ元松竹芸人でトチギフというコンビを組んでいた。彼らは芸歴は僕より上で途中から松竹に入ってきた移籍組だった。当時、同期がもうほとんど辞めてしまっていた僕らにとって、トチギフと、同じく移籍組のじなんぼ〜いずの存在はとても嬉しかった。自分の中で勝手に同期と思っていた。

いつからか長屋と俺は仲良くなり、一緒によくコンパに行っていた。長屋は女の子をいじったりトークで距離を縮めるのがとても上手で羨ましかった。

 

そんな長屋が芸人を辞めるとなった時は悲しかった。数少ない仲のいい芸人が辞めてしまうのは辛い。一緒に頑張っていた者にとっては少なからずモチベーションに影響する。彼は結婚して家業である遊覧船の船長(!)を継ぐため実家に帰った。

 

長屋は俺を結婚式に呼んでくれた。じなんぼ〜いずも一緒に行った。じなんぼ〜いずは余興で漫才をやってみんなを全力で楽しませていた。芸人の底力を見た。結婚式の余興はぜひじなんぼ〜いずに。

 

この結婚式が1番素晴らしかったのは、長屋本人がとてもキラキラ輝いていたことだ。言ってしまえば彼は夢を途中で諦めた男。しかし、彼からそのことに対する負い目や悲しみといった類のオーラを全く感じなかった。そればかりか終始彼は茶目っ気を見せて来てくれた人全員に屈託のない笑顔を振りまいていた。芸人の経験もあるだろうが、それは彼本来のひょうきんさが成せる業だと感じた。ああ、彼は本当に、いや、本当は、とっても明るくて楽しい人だったんだなと思った。まず長屋という面白い人間がいて、その人間が芸人をやっていただけなんだ。そう思った。

 

俺は長屋の奥さんとは飲んだこともあり顔見知りだ。奥さんは長屋君のために長屋家に入り家業のサポートをしている。とても素敵な女性だ。キムタク風に言うなら古き良き時代の女だ。愛でしかない。長屋も奥さんも2人一緒ならずっと幸せなんだろう。そして2人の間に爆誕したJr.も。